2006-02-07 [長年日記]
題未定 第二回 ソックス・ハント
彼の名は佐藤尚也。平凡になることを許されなかった少年である。
回想
彼は悩んでいた。この、異臭を放つアタッシュケースを如何にすべきか。既にそこには十足の靴下が収納されている。思えばつらい日々であった。周りからの冷たい視線に耐え、ひたすらに靴下を集めた。時には敵の間者の計略により靴下を奪われそうになったこともある。
しかし、それも後一足のこと。あの教師から靴下を譲り受ければ任務は完了である。そう思い、ひそかに彼の持ち物を観察したのは今朝のことだっただろうか。果たして、彼は自身の靴下を所持していなかったのだ。
内心動揺しつつも、周りの人間に視線を向ける。こいつも、あいつも違う。校内を走り回った甲斐なく、靴下を譲り受けた人物を見つけることはできなかった。あるいは、とも思う。靴下は既に破棄されてしまったのではないのだろうか。暗い想像が頭をよぎる。
明日は鈴木とのデートだ。世間的には付き合っていることになっている。ソックスハンターとしての素性を隠す為とはいえ、悪いことだとは思う。彼女をないがしろにするわけにはいかない。今日はもう寝よう。
追憶
彼は起きざまに市街地へと向かった。目立たないように隅に立ち、路往く人を観察する。あいつも違う。そいつも違う。靴下は見つからない。
そうこうしているうちに、約束の時間が近づいてきた。待ち合わせのちょうど10分前に鈴木が現れた。こちらには気づいていないらしい。心なしかうきうきした様子で交通標識の前に立ち、待ち合わせの相手、すなわち彼自身であるのだけれど、を待っている。
それは既にハンターとしての習性といってもいいだろう。すばやく彼女の持ち物に目を走らせる。……あった。小島空の靴下。最後の一足は誰あろう、彼女が持っていた。その靴下を譲られた状況を想像するだけでも腹立たしいが、今はそんなことをいっている場合ではない。
今きた風を装い、鈴木に話しかける。他愛のないことを話しながら、胸中ではどうやって靴下を手に入れるか思案していた。交換を持ち掛けようにも、手持ちの物がない。しかし今は鈴木とは恋人同士。多少のわがままも聞いてくれるのではないか。恋人同士。と心の中で一回呟いて、切り出す。「その靴下、欲しいんだけど」
笑顔で頷いて靴下を差し出す鈴木。冷静を装い、受け取る。今すぐにでもアタッシュケースに詰め込みたい衝動に駆られるが、そうするとよくないことが起きそうな気がする。「じゃあ行こっか」そう言う鈴木に一つ頷いた。
帰着
映画に行ったあと、帰り道で話が弾み、鈴木はそのまま泊まっていった。今朝も一緒に登校した。心踊る出来事ではあるが、気になるのはやはり靴下のことだ。昼休み、昼食に誘ってくるクラスメイトを振り切り、体育館裏に走る。
とうとうこの時がきたのだ。最後の靴下をアタッシュケースに収納する。ペンギンの格好をしたソックス・バトラーが現れ、新たなる称号を告げる。ソックス・ニューオーダー。彼は伝説となった。
ニャー速。(=ΦωΦ=)ニャーォ:高専生だけど何か質問ある?
199 :VIP774 :05/12/06(火) 00:45:40 ID:MCFSdk8w0 やっぱ各高専で違うのかな? 早い→スタ 使用例:スタ飯、スタ風呂、スタ寝 勉強する→シコル あとなんだっけな…
どうみても某鹿高専生です。本当にありがとうございました。