2017-03-10 [長年日記]
ゼルダの伝説 Breath of the Wild
若干のネタばらしを含むゼルダの感想。なんか先に別の場所に書いちゃったんでそれで満足したんだけど、一応こちらにも。
多くの人が指摘しているように、今回いわゆるオープンワールド形式*1を採用したゼルダは、既存のオープンワールド系のゲームから多くのエッセンスを取り入れている。例えば、塔を登って周辺地図を開放するのはFarCry他のUBIのゲームからの引用だし、空中でどこでもグライダーを広げて移動できるのはJust Causeやバットマンのアーカムシリーズの影響を感じる*2。他にも食料、素材確保のためのハンティングや採取、細かく発生するサブクエスト、乗り物による移動やファストトラベルなど、「オープンワールド的な」システムが、ゼルダなりの味付けをした上で組み込まれている。
一方、他にない部分もあって、とにかくどこにでも*3登れるというのはかなり新しい。もちろん、源流としてのアサシンクリードやSkyrimにおける「登山」も念頭にあるのは間違いけれど、アサシンクリードでは実は点と点の移動にすぎない上下方向の移動*4が、壁を面として移動できるというのはすごい。Skyrimで麓の街を経由せずにハイ・フロスガーに到達してしまった身としては、ちゃんとゲームシステムとして成立する形でクライミングが組み込まれているのはすばらしいと思う。そして、クライミングと滑空があることを踏まえての地形や収集物の設定がしてあって、とにかく走って登って滑空しているだけで楽しい。
実のところ、マップのあらゆる地形に立てるという意味では、特にアクション系のオープンワールドでは珍しくはない。Just Causeでは飛行機からのダイビングとパラシュートでどこにでも行けるし、Crackdown(RIOT ACT)やSaints Row 4では自身の身体能力により高層ビルの屋上にも軽々と登れてしまう。ただ、こういうアクション寄りのオープンワールドは大味になりがちで、一番高いビルに登るには、ちょっと高めのビルを経由するだとか、戦闘も上空からミサイルぶち込みますみたいな感じ(これはこれで好きだけど)だったりするので、移動の自由さを確保しつつ、戦闘を精度を持って成立させているところは他にはない感じがする。
精度という意味では、任天堂のいうところの物理エンジンと化学エンジンによる謎解きその他もすばらしい。これは従来のゼルダからの流れももちろんあるけど、手持ちのアイテムでスイッチが押せたり、ダンジョン内のオブジェクトで火をつける代わりに火の矢を射つだとか、思いついたことが実際にできて通用するし、従来Havok神の加護のもとでは成立し得ないと思われてきたことを実現しているという意味でも出色の出来だと思う。
ということで、ひとまずの感想としては、
よくある洋ゲーのオープンワールドゲーを、複数煮詰めて煮込んでアクを取ってゼルダ味をつけたようなゲームといえば、そういう感じなのだが、これが、よくもまぁ最終的にキッチリとゼルダ味に仕上げたな、という出来だと思う。 http://dochikushow.blog3.fc2.com/blog-entry-3384.html
にかなり近いんだけど、すべての要素に関して非常に高いレベルでまとめられていて、結果的に、それが今までにないゲームという感触を与えているように思う。
ここがよい
- モーションが細かい。武器種によって攻撃のモーションが違うし、馬への乗り方も位置関係で変わる。個人的にツボだったのは、水面で止まると、立泳ぎのモーションをするところ。
ここがちょっと…
- Dockモードでフレームレートが落ちるのは、たまにガクッとなるくらいで常時不安定なわけではないのであまり気にならない
- ゲームデザイン的に仕方ないんだろうけど、キャラの強化のエスカレーション感がもうちょっとあるとよかった
- インベントリ管理がこなれていない
- 武器、盾、弓を捨てるのが面倒。切替は十字キー+Rスティックの左右でできるので、捨てるのもここに組み込んでほしかった
- 料理のレシピが料理からしか参照できないのが不便。色んなパターンがあってあれなんだろうけど、レシピから作成みたいなのがほしかった