2003-06-14 [長年日記]

カラスの死骸はなぜ見あたらないのか

「カラスの死骸はなぜ見あたらないのか」というのはかの有名な矢追純一氏の著作である。僕が本を探す時は、だいたいここで検索するのだが、著者名に彼の名前を入れて検索すると、それっぽい題名の本がずらずらと出てくる。「人は死ぬ時なぜ体重が減るのか」、「宇宙人は本当に実在する」、もう題名だけで嬉しくなってしまう。

人は死ぬ時体重が減るらしい。これは、一部では有名な「魂の重さを量る実験」の関連ではないかと思う。死んだ直後に7g軽くなったという話だ(この7gという数字を覚えているのは自分でもどうかと思うが)。しかし、50kg程もある体重に対して数グラムオーダーの計測ができた頃の話なのだろうか。

本当にカラスの死骸が(死んだ瞬間に一瞬にして)消えてなくなるかというと、そんなことはありえない。まあたまにはあるかもしれないが、全てのカラスがそうだというのはいいすぎである。そもそも何故このような話が出てきたかというと、カラスの死骸は見当たらないというのが根本にあると思われる。確かに、普段カラスの死骸を見ることはあまりない。しかし、それは鳩にしたってそうだし、見ないというのはただ単に注意力不足だからだ。

しかしなぜ、カラスなのだろうか。いや件の本によると鳩も消えているらしいのだけど、鳩のことを気にする人は少ない。それはやはりカラスが神代からの生き物だからだろう。古事記には三本足のカラスである八咫烏が描かれているし、世界的にみてもカラスを神の使いとする伝承は多い。

超能力を白いカラスに喩えることがある。簡単な存在証明のレトリックなのだが、「白いカラスがいないとはいえないように、超能力もないとはいえない」というやつである。だからこそ、存在証明は存在すると主張する側が証明しなければならないし、否定する側はそれに対して反論するだけでいい。

ちなみに白いカラスは存在する。