2002-07-09 [長年日記]

最近、情報処理技術者試験の受験申し込みのメールがきていた。そういえば春季分は手違いで受験しなかったのだけれどJITEC(情報処理技術者センター)では合格発表が行われているようである。ということで、今回もここで発表されている統計情報をもとに話を進めていきたいと思う今日この頃です。

今回のターゲットは、受験者と合格者の平均年齢である。試験区分が変更された為試験区分によって二回分、もしくは一回分のデータしかないが、もともとこの考察自体お遊びであるのであまり気にしないで頂きたい。

応募者の平均年齢の低い順から行くと、基本情報処理技術者、ソフトウェア開発技術者、初級システムアドミニストレータ(以下初級シスアド)となっており、以降試験内容が簡単な順番になっていると思われる。基本情報処理技術者の平均年齢が低いのは当然の如く一番簡単だからであって、この資格が取得できることを謳っている高校があること考えると、その程度のレベルのものであるということである。次にちょっと意外なのが、ソフトウェア開発技術者より初級シスアドの方が平均年齢が高いということである。合格率は対受験者数でソフトウェア開発技術者が11.7%、初級シスアドが30.9%となっていて*1、極めて乱暴に言い切ってしまうと初級シスアドの方がよっぽど簡単なのだ。

これはやはり、試験内容の性質による違いであるといっていいだろう。試験概要から引用すると、初級シスアドの対象者像は「ユーザ企業において、情報技術に関する一定の知識・技能をもち、部門内又はグループ内の情報化をエンドユーザの立場から推進する者」であり、ソフトウェア開発技術者の対象者像は「情報システム開発プロジェクトにおいて、内部設計書・プログラム設計書を作成し、効果的なプログラムの開発を行い、単体テスト・結合テストまでの一連のプロセスを担当する者」である。有体にいうと、「私使う人あなた作る人」ということである。この業界の実情を考えると納得できそうなデータである。とここまで書いていて気付いたのだが、初級シスアドの受験者の最頻層は大学生なのだ。大学生ということは、初級シスアドの全体の平均年齢29〜30より低いはずである。ということは、どこかに平均年齢を上げている要因があるはずで、それがどこかというと社会人の最頻層である情報サービス業が考えられる。この情報サービス業と比較的近い分野であると思われるコンピュータ及び周辺機器製造又は販売業(長いな)をあわせると大学生と大体同じような人数となる。つまりは初級シスアドの受験者層は、「簡単だから」という理由で受けている比較的平均年齢の低い層と、「必要に迫られて*2」受けている平均年齢の高い層で構成されていると思われる。

次に受験者と合格者の平均年齢の違いに注目してみよう。比較的難易度の低い基本情報処理技術者と初級シスアドを除くと、大体において受験者より合格者の平均年齢が低いことが見て取れる。これはつまり、一種や二種は持っていて高度を受けたのはいいが、年をとるとなかなか覚えが悪くて不利になっちゃうということではないだろうか。まぁ1%かそれに満たない数字から断定するのはあれだけど。ということで今回は落ちなしということで。

*1 前回ソフトウェア企業からの受験者の意識の低さを指摘した。他の区分と比べソフトウェア企業からの受験者が多いソフトウェア開発技術者の合格率の低さの一因はここにあると思われる(同じくソフトウェア企業からの受験者が多い基本情報処理技術者の合格率も18%とその難易度から考えると低い値になっている)。しかし、3倍という数字はそれだけでは説明が付かないと思う。

*2 本当に必要かどうかはまた別の話